起業の教科書連載シリーズ


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“ショボい起業コンサルタント”えらいてんちょうさんによる、ショボい起業コラム
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法政大学キャリアデザイン学部の遠藤野ゆり助教授による「発達障害と起業」について考えるコラム
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起業する前に考えるべきこと一覧―絶望的な想像に耐えておけ

起業する前に考えるべきこと一覧―絶望的な想像に耐えておけ

さて、みなさんは起業をしたいという気持ちがあるからこの文章を読んでいるのだと思います。僕は起業に失敗して、今まさに出直ししているところなので「起業に成功する方法」は何一つわかりません。本当に難しいですからね、起業って。実際、9割失敗すると考えておいて大体間違いないと思います。それでもやる、というのが起業ですね。
さて、今日はちょっと目先を変えて「リスク」の話をしたいと思います。

皆さんには壮大なビジョンとか大きな志とかビッグな野望とかは既に一揃いあると思います。イカした事業計画もあるかもしれませんね。素晴らしいことです。皮肉味のある表現をしていますが、実際のところこれは大事です。こういったものがないと何も始まらないですからね。シビアに冷徹に消去法で考えて起業する、なんてことはあまりないので、やはりこれは素晴らしいことです。

「起業に成功するため」の話は良い。では、「起業に失敗した時に生き延びるための話」はいかがでしょうか。皆さん、「起業に失敗する」ということについてどれくらいシビアに考えていますか?例えば「飲食店がやりたい」という人は多いと思います。飲食起業に失敗した場合どうなるか、想像がついているでしょうか。

失敗には色々ある

起業の成功率(何をもって成功の定義とするかはともかく)は高くないのですから、失敗した人はたくさんいます。しかし、起業失敗の具体的事例を見聞きしたことはあまりないと思います。実際、僕がその辺を書き始めたら一時は「起業」のgoogle検索1位が僕の文章だった時期もあったくらい、本当に流通していない情報です。

しかし、僕の場合「破産せずに済んだ」「金融事故を起こさなかった」など、比較的「マシなコケ方」の部類であるというのも事実で、実際のところ「派手にコケた」人はこの程度では済みません。「シャレにならない情報」というのはそうそう表に出てこないのです。

「大借金をして起業して失敗した」というと、普通に考えて破産するかあるいは働いてコツコツ借金を返すかになります。これは誰しも想像がつくでしょう。500万の融資を引いて起業するのは本気でやろうと思ったらそれほど難しいことではありません。しかし起業失敗の後、再度就職活動をして500万+利子を返済するというのをリアルに考えると、かなりゾワっとすると思います。是非ゾワっとしておいてください。しかし、これは「マシな方」です。というのも、「起業失敗」というのはその程度で済まないことも多いからです


最悪の失敗

例えば、飲食業というのは参入障壁が小さい割に、「最悪の失敗」が起きやすい業種です。例えば、「食中毒」。例えば「火災」。例えば「労災」。飲食の場合、なあなあで人を雇うことが多く、労災保険なども無視されている場合は少なくありません。「従業員がフライヤーの煮えたぎった油を全身に浴びた」とか、ちょっとリアルに想像してみてください。

食中毒も稀ではありません。特に食肉を扱っていたりすると「下手すりゃ客が死ぬ」というのは飲食マンにとって当然の認識です。更に、飲食につきものなのが火。わかりますね。これは自分自身が飲食で創業してわかったのですが、こういったもののリスクヘッジを「一切やっていない」お店は山ほどあります。

自分の事業が「最悪の場合どうなるのか」についてリアルに想像できない人は、必ず転びます。転び方が良ければ善き学びになりますが、転び方が悪ければそのまま地獄の底までまっしぐらです。さて、飲食で創業されようと考えている皆さん、上記のリスク対処について空で答えられますか?答えられないなら、創業するのはまだ早いでしょう。「最悪の事態」は必ずやってくるものなのです。

信用リスク―世界は狭い

さて、次に「失敗」について恐ろしいのが「信用」です。お金が返せません、という事態になったら次に金融機関がお金を貸してくれるのはかなりの難関を乗り越えた後になりますが、実はもっとヤバイものがあります。「業界における信用」です。

というのも、あらゆる業種は「狭い村」なのです。僕も創業してわかりましたが、「同業者」の噂話というのはものすごい速度で流通しています。情報社会だITだと言いますが、商売人ネットワークが一番怖いのです。というのも、商売というのは取引先に裏切られると大惨事が起きます。朝から晩まで「あいつは信用できるか」と考えているのが商人と言えます。

つまり、事業のコカしかた次第では「業界で誰にも相手にしてもらえなくなる」ということもあり得るのです。事業主というのは通常、大きな与信を持ちません。いわゆる「顔」で商売をすることになります。この「顔」が丸つぶれになった場合、商売の難度はまさにエクストリームになります。

どうやって転ぶか

これはとても残念なことですが、統計的に考えればあなたの起業は失敗します。しかし、そんなことはあなたの決意にとってなんの障壁にもならないでしょう。素晴らしいことです。失敗する可能性が高い、そんなことはやらない理由にならないですよね。

起業を実行する前には、可能な限り「最悪の事態」を考えておきましょう。「どうやって転ぶか」を考えておきましょう。致死的な転び方だけは避ける、と腹を括りましょう。それだけで、あなたの生存率はハネ上がります。

起業というのは未踏ルートを狙う登山に似ます。「どのような事態が起こり得るか」の想像力と備えこそが生き死にを分けます。そして、残念ながら「ここは雪崩の頻発エリアだ」とか「このクレバスに落ちたら即死」とかそういうことを教えてくれる人はほとんどいません。しかし、あなたがクレバスに落ちたら「そんなことは常識だろう、あんな失敗をした奴は信用できない」という残酷なジャッジが下ります。

実際のところ、多くの起業家が過去にコケています。僕もコケました。しかし、それでも立ち直り再び戦うのが起業家です。少しでも多く、絶望的な想像に耐えておいてください。本物の絶望がやってきた時、それがあなたを救います。とりあえず「浅田農産」で検索してみると良いと思います。そこからどれだけの教訓と祈りを引き出せるかが、あなたの生き死にを決めるでしょう。

絶望を踏み越えて、やっていきましょう。

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