起業の教科書連載シリーズ


「発達障害者ライフハックブログ」の借金玉さんによるマイクロ起業体験談コラム
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ブログサイト「お前ら、社畜で人生楽しいか?」のアツシさんによる、脱社畜のすゝめコラム
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“ショボい起業コンサルタント”えらいてんちょうさんによる、ショボい起業コラム
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法政大学キャリアデザイン学部の遠藤野ゆり助教授による「発達障害と起業」について考えるコラム
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起業に優れたビジョンなんていらないし、他の事業と差別化する必要もありませんというお話

起業に優れたビジョンなんていらないし、他の事業と差別化する必要もありませんというお話

どうも、えらいてんちょうです。皆さんにとって起業とはどういうイメージでしょうか。全く新しいビジネスモデルの創出、社会に新しい価値を生み出す、こういったことを考えている人はいませんか。実は起業に見られるこういうイメージも大きな落とし穴になります。


イノベーションを追求しすぎると失敗する

ハッキリ言います、起業には新しい価値やイノベーションは必ずしも必要ではありません。むしろ、そういったものに固執しすぎると起業は失敗します。

起業から少し離れて、普通のバイトを例に説明します。
東京で言うと最低賃金は約1000円です。これは、お客さんがこない時間帯であっても変動なく、とにかく1時間拘束されれば1000円をもらえるようになっています。人件費を払ったら儲けはゼロということはないので、経営側から見ると平均して1時間で1000円以上の儲けは確実に出ています。店や形態によって差はあるでしょうが、1時間3000円くらいは最低でも儲けがでていると見てよいでしょう。

つまり、一般的な能力のある人が既存のビジネスモデルを真似て、それをしっかりとやるだけでも1時間に3000円分くらいの働きにはなります。イノベーションや新しい価値は起業の絶対条件ではありません。むしろ、既存の労働を最低限のクオリティ以上でこなせるかの方が大事です。起業と言えどもその根幹にあるものは労働です。

普通の学習塾の経験

もちろん成功している店や業務形態を真似るのは簡単ではありません。成功している店や業務形態には、見えないノウハウの蓄積などもあります。

しかし、ここで重要なのは大きく劣らないことです。

ひとつ私の例を紹介します。
私は過去に縁があって地元の学習塾を引き継ぐことになりました。私は家庭教師のアルバイトの経験こそありましたが、学習塾を経営したことは当然ありませんでした。では、どのように学習塾を経営したかというと、目新しいことや斬新なことは何もせずに普通の学習塾をしました

貼り紙などで生徒を募集して、普通に指導した。たったこれだけです。他の学習塾と比べたときに大きく優れていた点はなかったかもしれません。しかし、大きく劣っていた点もなかったでしょう。これだけで生徒は集まり卒業まで通ってくれて、塾も潰れることなく経営できました。

仮に、他の学習塾と同じように指導ができない、生徒の質問に答えられない、教えられない教科や分野があるなどと劣っていた点があったとします。もしもそうであったならば、恐らく同じように上手くは経営できなかったでしょう。大きく優れることよりも大きく劣らないこと、起業する上ではこのことが重要です。

回転寿司に学ぶイノベーション

その上で、付加価値をつけたり、社会に新たな価値を提供したいという人もいるでしょう。そういった方のためにもアドバイスをします。方法としては大きくニ点あります。

一つ目としては、今ある商売の当たり前のことをやって、その上で何かひとつでも改善することです。既存の商売よりも、少しでも優れている点があればそれが強いセールスポイントになります。

例えば、社会に浸透したものとしては、回転寿司がわかりやすい例ですね。
回転寿司は1970年の大阪万博に出店して表彰されたことで全国的に広まりました。寿司は、それまでは大衆が気軽に食べることができませんでした。回転寿司は、ここに「庶民・大衆でも気軽に食べられる」という付加価値をつけました。もちろん値段面での努力もあるでしょうが、スシローやくら寿司やかっぱ寿司などで家族連れがワイワイとお寿司を楽しんでいる姿はもはや全く珍しいものではありません。

回転寿司は、高級食のひとつであった寿司を、庶民や大衆も楽しく食べられるようにした素晴らしいイノベーションです。

本屋さんの減少から商機を学ぶ

もう一つの方法は既に潰れてしまったり、廃れてしまった商売を研究することです。
潰れてしまったり、廃れてしまった商売はどこかがおかしくて潰れてしまいました。このおかしかった点を特定して、その点を改善できれば商機はあります。

今おもしろい動きをしているのが本屋さんです。本屋さんは1999年から2017年までの間に9770軒もなくなっています。2020年には全国の書店の数は1万軒を割るとも言われており、現在でも全国で書店のない自治体が2割強あるというデータもあります。

本屋さんが廃れてきている理由は、ネットの台頭や、趣味の多様化などさまざま原因があるでしょうが、それでもその中で新しい動きが生まれてきており、見方によってはブルーオーシャンが広がっています。

今成功している本屋さんとしては、いわた書店が有名です。テレビなどにも取り上げられ、名前を知っている人も多いのではないでしょうか。
いわた書店は、1万円選書というサービスで人気を集めています。1万円選書とは、年齢や家族構成、これまでの読書歴などを聞いて、その人に合っている本を店主の岩田さんが選ぶというサービスです。1万円選書は今では注文が殺到して、抽選で当たった人だけが受けられるサービスとなっています。

いわた書店自体は北海道の小さな本屋さんです。それでも商売を十二分に成り立たせています。この他、地域に根ざした本屋さんをつくろうとクラウドファンディングで資金を集めて開業した高松市の本屋ルヌンガや、目利きの店員が本を選んでくれる書店などの試みも始まっています。こういった試みは、起業の研究として参考になるかもしれません。



普通のことを普通にやる

回転寿司のイノベーションと本屋さんの試みを例に出しましたが、その上で新しいビジネスモデルはそうそう見つかるものではないし、またあったとしても導入するには大きなお金と労力も必要でしょう。まず必要なことは普通の商売をすることです。優れようとするよりは、大きく劣らないことを意識しましょう。

あとは仮に新しいビジネスモデルを作り出したとしても、それは市場に出してみないとわかりません。人間の集合体は簡単ではありません。市場は複雑怪奇なりです。もしも、「絶対に行ける」と判断したら市場に出してみて、それでも駄目なら撤退しましょう。

(参考)
書店数の推移(日本著者販促センター)
書店ゼロの自治体、2割強に

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